その昔、70年代フォークソングの名曲に『学生街の喫茶店』というものがあった。『ガロ』(マンガ雑誌にあらず)というグループが唄った曲で、著作権のために引用することは差し控えるが、学生街にある喫茶店に集う恋人たちを唄った名曲(そのままやんか(^^;)……、だったと思う。 時は流れて十数年後。私こと庄司卓は、国電(当時)御茶ノ水駅新宿寄り駅前にある喫茶店『丘』で、よく友人たちと会いダベることが多くなっていた。 その頃である。ある知人から「この『丘』が、あの『学生街の喫茶店』のモデルになった茶店だぜ」と教えられたのである。 「……ええ〜〜〜!? まぢぃっ?」というのが、その話を聞かされた時の私の本音だった。歌の中に出てくる喫茶店は「裏通りにあるちょっとアンティークな喫茶店。客は少ないが、いつも顔なじみの常連がカップを傾けている」というロマンティックな雰囲気が有ったのである。しかし現実の『丘』は、まぁ学生街にはあるものの、車道に面しているばかりがとなりにはゲームセンターがあり、とてもじゃないがそんな裏通りにひっそりとあるという雰囲気ではなかったのだ。その上、狭く暗く地下二階(地下三階もあったかもしれない)地上三階(だったと思う(^^;)、その上なぜか中二階もあるという妙に複雑な構造であり、なんかほとんどもうダンジョンの様相を呈していたのである。 また(他人のことは言えないが(^^;)、当時、『丘』にはなぜかアニメファン、SFファン、マンガマニア等(当時まだ「オタク」という言葉はなかった)が集まり始め独特な雰囲気が醸し出されていたのだ。 私は見たことがないが地下の客席には『ミンキーモモ』をフィギュアを前に熱く語り合っていた一団がいたとも言う……。 私が通い初めて一年ほどして『丘』は休業して改装工事をはじめた。どうせ、また喫茶店に戻るさとたかをくくっていた私たちだが、改装を終えて復活した店舗をみて目を丸くした。 『丘』はなんとゲームセンターになっていたのである。 『学生街の喫茶店 丘』終焉の時であった。 その後、何年かして上野駅の側でやはり『丘』という喫茶店を発見した。店名のロゴも『学生街の喫茶店 丘』とそのままである。しかしそれがあの『丘』と同じ店なのかどうか不明である。 |